ネガティブ・シリーズ花瓶

ネガティブ・シリーズのコンセプトは、鋳型制磁器に存在するネガティブスペースを捉える、というもの。本シリーズの作品そのものが、それらがどのように作られたのかを全て物語っている。パーツごとの分かれ目、流れるような土のフォルム、細かい割れ目や裂け目などが、全て見る者の視覚に訴えてくる。一つ一つ違うデザインだが、実は本シリーズの作品は全て同じ鋳型から作られている。いくつものブロック状の石膏で出来たとてもシンプルな鋳型だが、それらが組合わさることで無数の複雑なフォルムを作り出すのだ。それぞれのデザインは、鋳型製造におけるルールをそのまま体現しており、それと同時に、そのデザイン以外で可能なあらゆるフォルムをも示唆している。無限な可能性を、見る者に想像させるのだ。